新たなヘアデザインをつくり出すために、自由な発想はなくてはならないもの。ですが、 目まぐるしい日々が続くと、視野は狭くなり、柔軟なクリエイションができなくなってしまいます。
そんなとき…TWIGGY.スタッフは、日常から離れて、異国の土地を訪れます。今まで出会ったことのない人・文化・空気に触れ、固まった頭と心を解放し、さまざまなインスピレーションを感じていくのです。

この『To travel is to create』シリーズでは、TWIGGY.スタッフの旅を、現地で撮影した写真とともにご紹介。彼・彼女らが、どのように新しいヘアデザインを生み出しているのか…。旅という視点から、インスピレーションの源を探っていきます。

シリーズ第1弾は、独自のヘアカラーを生みだすカラーディレクター・ステファンの旅について。
彼が特に心惹かれる、インド・ベトナム・ラオス・ミャンマーには、彼のインスピレーションの源がたくさん隠されていました。写真とともに振り返る…彼の旅の回顧録 vol.2。
vol.1はこちら

vol.2 People ~秘境に住む民族たち~

vol.1では、ステファンにとって、インド・ベトナム・ラオス・ミャンマーの生活文化が、大きなインスピレーションとなっていることをご紹介しました。今回は、秘境で暮らす民族について。ステファンは、気になる民族がいると…世界各地のどこまでも追いかけていきます。自ら秘境に赴き、民族たちと直接会い、五感でたくさんの刺激を受けるのです。

「僕はインドや東南アジアの秘境に住む民族に、とても魅力を感じる。自分が育ったフランスでは出会ったことのない、ファッションや雰囲気をまとっているからだと思う。
ある年、インドのボンダ族に会ってみたくなった。でも、この民族の集落には、観光客は危なくて近寄れない。だから女性たちが集落から出て、マーケットに向かう途中を狙って会いにいった」(Stephane)

「彼女たちが手に持っていたり、頭にのっけている銀の入れものには、集落でつくったお酒が入っている。ヒンドゥー教だけど、この地域ではお酒を好むらしい。彼女たちは、英語が喋れないから、身振り手振りでコミュニケーションをとった」(Stephane)

「身に着けているアクセサリー・スカート・ストールは、集落で手作りされたもの。これまで僕が見たことのない、独特な風合いと色使い、繊細さ…それらを見て、胸がドキッとした。遠い場所まで民族に会いにくると、そんな瞬間が幾度となくあって、次はどんな人たちに会いに行こうか…とワクワクする」(Stephane)

「別の年に、ベトナムを旅していたときのこと。お土産屋さんで、民族らしき女性のポストカードを見つけた。ヘアスタイルが一風変わっていて、ぜひ会いに行きたいと思った。お土産屋の店員さんに聞いてみると、なんと!住んでいる地域を知っていた。ベトナム北部のサパから山を越えて、ラオスとの国境近く…、長い時間をかけて車で会いにいった」(Stephane)

「民族たちにポストカードを見て、会いにきたことを告げた。その魅力的なヘアスタイルについても。そうしたら、目の前で髪を結うのを見せてくれた。ポストカードだけでは分からなかったけど、髪にはブレード(三つ編み)した毛がたくさん付いていて、スーパーロング。器用にその長い髪の毛をまとめていった」(Stephane)

「彼女たちにとって伝統的なヘアスタイルは、僕にとっては新鮮で衝撃的。あまりに心に残ったので、日本に戻ってきてから、彼女たちのヘアスタイルをモチーフに、当時いたスタッフと作品撮りをした。ヘアデザインを生み出す上で、僕にとって、旅は本当に欠かせない」(Stephane)

ステファンにとって、インスピレーションを受けるのは、ヘアスタイルだけではありません。民族たちが身にまとう洋服・メイク・雰囲気…そのすべてが彼の中でインスピレーションの源として蓄積され、新たなヘアデザインにつながっていくのです。

「ある地域の民族から、伝統的なヘアスタイルは結うのが大変だから、若い世代はもうやらないのよ…と、聞いたことがある。こんなに素敵なのに…なぜ?と思った。でも確かに、日本でも着物を身に着け髪を結う人は限られている。それと同じなのかな?
民族の伝統的な文化には、他には代えられない魅力がたくさん詰まっていて、新しいクリエイションのインスパイアにつながると、僕は感じている。どうか…伝統を守る民族が、この先も変わらずにいてほしい。彼・彼女たちからうけるインスパイアは、何にも代えがたいから」(Stephane)

ステファンのインド・ベトナム・ラオス・ミャンマーの旅…インスピレーションの源はこれで出尽くしたかと思ったら、もう一つ、インドのとある行事が彼にとって衝撃的だったのだそう。次回は、世界で最も大きな宗教行事である、クレイジーで神秘的な「Kumbh Mela」についてご紹介していきます。

Traveller

Stephane Dupont(ステファン・デュポン)

1963年生まれ、「TWIGGY. salon」のヘアカラーディレクター。 麻布十番の店舗からTWIGGY.に加わる。2005年にヘアカラーリストに転身。オーナースタイリストの松浦美穂とともに、さまざまなヘアデザインを手掛ける。ヘアカラーのインスピレーションは、日常生活を始め、旅、音楽、アートなど、あらゆる要素からキャッチ。“その人”の個性にフィットしたヘアカラーはカットラインとともに、オープン当初からTWIGGY.のヘアデザインの根底を支え続けています。

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