TWIGGY.で髪を切っているみなさんが知らず知らずのうちに参加している、サステナブルな取り組みがあります。

それは切った髪を編んでマット状に再生した「ヘアマット」を使い、海や川に流れた海洋原油や工業廃水を吸着するというものです。この取り組みに参加するTWIGGY.スタッフの一人である石垣くんに、ヘアマットの制作を通して学んだことを聞きました。

“美容室ならでは”の「地球の守り方」

「サロンでこの取り組みを始めるきっかけとなったのはTWIGGY.cafeでの出会い。へアマットを制作している濱さんがカフェを訪れた際、代表の松浦と意気投合。これまでもサステナブルな取り組みを大切にしていたTWIGGY.と濱さんの想いが共鳴し、すぐに取り組みを導入することが決定しました」

ヘアマットというのは、アメリカの環境活動団体『マターオブトラスト』によって開発された、海や川に流れた海洋原油や工業廃水を吸着してくれるマットのこと。

2023年3月に、フィリピンのロンブロン島沖でタンカーの転覆による重油流出事故が起こった際も、ヘアマットが活躍しました。その原料となるのは、美容室でカットされた髪。それまでは廃棄されていた髪を再利用して、自然環境を守るアクションへと繋げることができるのです。

「今年の2月、濱さんから『一緒にヘアマットを制作してみませんか』とお話をいただいて。いつもはカットされた髪を濱さんへ配送していただけだったので、生産背景までを見るということはなかったんです。スタッフも興味津々。袋いっぱいにサロンでカットされた髪を詰めて、二子玉川にある濱さんの作業スペースへ初めてお邪魔しました。」

カットされた髪が、ヘアマットに生まれ変わるまで

濱さんの作業スペースで実際に見学させていただいた工程。順を追ってご紹介していきます。

①まずはじめに、カットされた髪を長さごとに仕分ける作業。袋いっぱいに入った髪を取り出して、丁寧に仕分けていきます。普段この作業は髪を配送する前にサロンで行なっているものです。

②髪を束ねてマシーンで叩いていきます。このマシーンで作成できるヘアマットの大きさは60cm×80cm。この段階である程度、マットの大枠が完成します。

③一度、長い髪だけでマットの土台を作成。その後、短い髪で土台を埋めて、ヘアマット全体の密度を濃くしていきます。

④ヘアマットが完成! この日はみんな初めての作業だったので2時間ほどで完成しましたが、慣れてくると30分程度で出来上がるのだそう。

地球にやさしい選択は、“当たり前の行為“から

「環境を守ろうと言われても何から始めていいのかわからない人もきっと多いはず。そんな中、このヘアマットの取り組みはいつも通り髪を切るだけで環境を守るアクションに繋がるんです。意識せずとも環境にやさしい選択ができるのは素晴らしいことですよね。美容師である僕たちが発信していくことに意味があると思っています」

このプロジェクトは切った髪をサロンへ寄付するだけでなく、ヘアマット制作に参加することもできます。実際に濱さんの作業スペースでは定期的にワークショップが開催されているので、興味のある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。

「ですが、始まったばかりのこのプロジェクトにはまだまだ課題もあります。製作者の人手が足りていないので、ボランティアのみなさんで成り立っている状態。今年、フィリピンで重油流出事故が起こった際も、当日に参加者を募り、少人数でマットを制作していたそうです。現在は海や川に流れた重油や廃水を取り除くために使われることが大半ですが、日常使いできる方法も模索中。みなさんが手に取るきっかけになるようなプロダクトを生み出せたら取り組みについて知る人も増えると思うんです。僕たちスタッフも日々アイデアを出し合っています」

“サロンで髪を切ること”。そんな当たり前のことから、みなさんも気軽にプロジェクトに参加することができます。ワークショップではメンバー同士で和気あいあいと新しい可能性を探るべくアイデアを出し合っています。

ぜひ、みなさんも一緒にヘアマットを制作してみませんか?

PROFILE

石垣奏太(Sota Ishigaki)

2017年にTWIGGY.入社。遊び心のあるヘアデザインをベースに、個性的なカットラインやパーマスタイルを提案。サロンワークだけでなく、音源制作も積極的におこない、アーティストなどに楽曲提供をしている。作品づくりでは、制作した音源をつかい、オリジナリティのあるクリエイションをしている。

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