人に寄りそう、ジャパンハートの活動とは?

TWIGGY.では、人と地球がお互いに心地よく感じる活動に取り組む団体や企業に共鳴し、勉強会の開催や持続可能なプロジェクトに参加するなど、あらゆる支援を行っています。そうした活動の中で得た正しい知識や情報を、お届けしていく『THINK, TRY, DO IT!』シリーズ。環境問題やサステナブルな活動に興味を持つ方々へ、情報を発信していきます。

今年の4月、私たちは新たな支援を開始しました。それは、国際医療NGO・ジャパンハートに、商品の売上などを寄付したこと。5月下旬、ジャパンハートの活動内容や寄付金がどのように活かされているのかを社内でシェアするために、団体の理事長である吉岡春菜先生をお招きし、勉強会を開催しました。 このコラムの前編ではジャパンハートの勉強会の内容を、後編ではTWIGGY.の寄付の内容についてご紹介していきます。

ミャンマー日本人学校健康診断での様子

よりよい未来のために、今できる行動を考えるきっかけに…

ジャパンハートは、子どもへの無償治療を中心に約20年にわたり国内外で医療支援をおこなってきた認定NPO法人。どんな想いを込めて設立したのか、ジャパンハートの理事長として、また医師として活動する吉岡春菜先生に話を聞きました。

「ジャパンハート創設者の吉岡秀人は、医師を志した当初から“貧しい人々に医療を届けたい”という想いを持っていました。10代から医者を目指し、30歳を機にミャンマーに訪れます。彼の地ではほとんどの人がきちんとした医療を受けられずにいました。そんな状況を見た吉岡先生は、貧困により医療を受けることのできないミャンマーの人たちに対し、日本から持ってきたお金が尽きるまで治療を続けました。“医療の届かないところに医療を届ける”というミッションのもと、39歳でジャパンハートを設立し、ミャンマーを拠点に協力者と共に医療活動を開始しました」(吉岡春菜先生)

その後、ジャパンハートの活動はカンボジア、ラオスへと拡大。治療だけにとどまらず、視覚障がい者を支援する社会福祉、人身売買を食い止めるための養育施設運営といった人道支援にも広がっていきました。

すべての人が平等に医療を受けられる体制づくりを

ジャパンハート設立当初に活動していたミャンマーでは、医療行為を通して多くのことを感じたそうです。

「ミャンマーは医療環境が整っておらず、助けられない命を目の当たりにしました…。ひどいやけどや先天性異常の病気に悩んでいる子供たちに出会い、そんな状況を変えていくために、吉岡秀人は豊富な医療資材の供給や、適切な医療を受ける体制を少しずつ整備。ジャパンハートの活動を通して、すべての人が平等に医療を受けられる環境づくりに取り組んできました」(吉岡春菜先生)

カンボジアでの拠点病院設立へ

そしてミャンマーでの医療活動を続けながら、カンボジアでも活動を広げていきます。

「さまざまな活動を行っていく中で必要だと感じたことは、小児がんなどの重い病気で苦しむ子どもに “高度な医療を届けたい”ということでした。その想いに突き動かされて、カンボジアでも活動を開始。医療活動を行う中で、活動拠点となる病院を持たないままでは緊急時や定期的な診療を十分におこなえない、継続的な医療提供が困難という課題に直面しました。その課題を解決するために7年かけて病院を設立。子どもから大人まで一般外来診療だけでなく、夜間の救急患者にも対応可能にしました。さらに長期的に、継続的な医療人材の育成を行える環境を整えました」(吉岡春菜先生)

小児がんは本来、発症した時点できちんと治療を行っていれば8割の子どもが治癒するそうです。しかし治療費を払えず、適切な医療を受けられない地域では、治療できずに亡くなってしまう子どもたちが8割にものぼると言われています。

「カンボジアのジャパンハートの病院では、他院では診ることのできないさまざまな小児がんの治療を無償で行っています。将来はカンボジアの人たちだけでなく、東南アジアの小児医療の拠点として、周辺国からも小児がん患者を受け入れ治療していくことを目標としています」(吉岡春菜先生)

カンボジアの拠点病院から、退院した患者さん

治療を超えた医療の可能性を追求し続ける

“医療の届かないところに医療を届ける”という理念を掲げるジャパンハートは、国や人種を問わず世界中の人が豊かな生活を送れるような社会を目指して、国内外の地域で医療活動をしてきました。

「“すべての人が生きてきてよかったと思える世界の実現”というヴィジョンを実現していくために、ジャパンハートではこれからも治療を超えた医療の可能性を追求し続けたいと考えています」(吉岡春菜先生)

今も第一線で医療活動を提供し続ける、吉岡秀人・春菜先生。“すべての人が生まれてきてよかった社会”の実現を目指し、自ら行動を起こされてきました。 ひとりでも多くの方が行動を起こすことで、社会は少しでも変わっていくかもしれません。“まずは自分にできることを”。小さなアクションでも、何かに気づいて行動を起こすことが大切なのではないでしょうか。

後編では、TWIGGY.が4月にジャパンハートへ寄付を行った内容について、ご紹介していきます。

profile

吉岡春菜(Haruna Yoshioka)

2003年に医学部を卒業し1年間の小児科研修の後、2004年にジャパンハートの国際医師長期ボランティアとしてミャンマーへ渡る。帰国後は、岡山県の市中病院で勤務医をしながらジャパンハートでの医療活動に定期的に参加。東日本大震災をきっかけに病院を退職して、ジャパンハートに入職し、被災地での医療支援活動を継続的に行った。現在は理事長としてだけでなく、国内の小児がんの子どもと家族を支援する「Smile Smile PROJECT」のリーダーとして現場に立ち続けている。

PICK UP