新たなヘアデザインをつくり出すために、自由な発想はなくてはならないもの。ですが、 目まぐるしい日々が続くと、視野は狭くなり、柔軟なクリエイションができなくなってしまいます。
そんなとき…TWIGGY.スタッフは、日常から離れて、異国の土地を訪れます。今まで出会ったことのない人・文化・空気に触れ、固まった頭と心を解放し、さまざまなインスピレーションを感じていくのです。

この『To travel is to create』シリーズでは、TWIGGY.スタッフの旅を、現地で撮影した写真とともにご紹介。彼・彼女らが、どのように新しいヘアデザインを生み出しているのか…。旅という視点から、インスピレーションの源を探っていきます。

シリーズ第2弾は、カラーリスト・佐藤真衣子の旅。彼女は24歳のときに渡米し、ニューヨークに滞在した2年間、国・人種・宗教など…多種多様な考えを持つ人たちと出会い、共存しながらも自分の芯を持って生きている姿勢に刺激をうけました。そして日本に帰国後、まだ訪れたことのない土地・人・文化に興味を持ち、彼女の旅がはじまります。29歳になってはじめて訪れたトルコ、30代になり勇気をだして旅をしたヨルダンとイランには、彼女が持つ世界観のルーツ(源)が秘められていました。シルクロードを辿るようにトルコ・ヨルダン・イラン、彼女の人柄をつくりだす旅を紐解いていきます。
vol.1はこちら

vol.2 People ~人々との出会いを重ねる~

旅をすると、歴史的な建造物や月日とともに変化する自然、土地に根付く文化など、さまざまな心を動かされるものに出会います。そんな旅の出会いの中で、誰もが印象に残るのは“人”との出会いではないでしょうか。真衣子も中東の旅で、あらゆる人々に出会い、心を通わせてきたのだそう。

「私が9年前にはじめてヨルダンを訪れたときは、ちょうどシリアやガザ地区で紛争が起きている時期で、日本では色々な情報が飛び交っていました。でも現地に行くと、紛争している地域から近い場所ではあるけれど、人々の暮らしや営みはいつも通りの様子で、いい意味で変わらずに過ごしている雰囲気でした。そして、じかに人々と接すると、やさしさや面白さ、さらに“自分の性格に近いところもあるな…”と感じることも。そうしたあたたかさに触れて、国によって暮らす環境が違かったとしても、彼・彼女らは私と同じ“人”であり、穏やかにそれぞれの暮らしを楽しんでいるのだと感じることができました」(真衣子)

「中東を旅していて印象に残った“人”との出会いは、ヨルダンのペトラ遺跡を訪れたとき…。遺跡を歩いていると、どこかで拾ってきた石とポストカードを売っている、2人の女の子に出会いました。1ドルで石とポストカードのどちらかと引き換えでしたが、私は2人から石をひとつ買い、それぞれに…という想いで2ドルを渡して別れました。
再び遺跡を散策していると、さっき話した女の子の姿が。“お姉さん!2ドルもらったのに、私ポストカードを渡していない。どれが良いか選んで!”と、わざわざ私を探してきてくれたんです。その姿を見て、たとえ貧しい状況にあったとしても、1ドル余分にもらってラッキー!という気持ちじゃないんだと…。2人の子どもの純粋で真っすぐな心に、すごく胸がうたれました」(真衣子)

ペトラ遺跡で出会った女の子2人

「旅にでると、“こんな感じ方もあるんだ” “こんな生き方もあるんだ”と、国や人種、宗教を超えて、人々はさまざまな姿を私に見せてくれます。旅での出会いをきっかけに、ライフスタイルもヘアデザインも、常に自分の先入観に捉われず、自由に感じ表現していきたい…と思うようになりました。これからも、ゆるやかに色々な国を訪れて、新しい人々と出会い、さまざまな考え方も生き方も受け止めていけるようになりたい…そう願っています」(真衣子)

「日本にいると、中東はどうしてもマイナスなことがフューチャーされがちで、それ以外の情報は少ない。でも実際に中東を訪れてみたら、現地に点在するモスクやテキスタイルの色合いや模様はとても美しく…、人々の心はやさしくてあたたかかった。どの国を旅しても、自分の目で見て…空気を感じ…肌で触れるからこそ、いつも新しい発見がある。そんな経験を重ねて、自分の視野や価値観が広がっていき、さまざまな角度から物事を見られるようになれたらいいな…と感じます。

もし中東に旅をしたいけど“まだ勇気がでない”と思う方がいたら、私は“きっとまだ行かない方がよいかもね”と伝えるかもしれません。自分の中にある“恐怖心”は、言語が通じない相手にも伝わる可能性がある。自分の中で“行ってみたいな…行けるかも!”と思えたときに、旅にでたほうが楽しめると思います」(真衣子)

全2回に分けてお送りしたカラーリスト真衣子の中東…トルコ・ヨルダン・イランの旅、いかがでしたでしょうか?彼女がゆるやかに物事を捉え、自由にしなやかに世界観を表現しているのは、常に固定概念を持たずに、さまざまな人やモノに出会っているからなのかもしれません。これからはどんな土地を訪れ、なにを感じ、彼女という人柄がどのように広がっていくのか…またこの旅コンテンツでお届けしていきます♪

コロナによる渡航自粛もなくなり旅行がしやすくなった2023年。今年はどのスタッフがどんな旅を紹介してくれるのでしょう…乞うご期待です!

Traveller

佐藤真衣子(Maiko Sato)

「TWIGGY.salon」カラーリスト。美容師を経て、渡米。帰国後、2010年からTWIGGY.に加わる。カラーディレクター・ステファンのもとで、カラーリストとしての経験を積み、2015年にデビュー。以来、独自の世界観をもとに、さまざまなカラーデザインを表現している。トレードマークは、パーマのようなくせ毛ヘアと眼鏡。

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