「サーキュラーエコノミー」 後編

TWIGGY.では、人と地球がお互いに心地よく感じる活動に取り組む団体や企業に共鳴し、勉強会の開催や持続可能なプロジェクトに参加するなど、あらゆる支援を行っています。そうした活動の中で得た正しい知識や情報を、お届けしていく『THINK, TRY, DO IT!』シリーズ。環境問題やサステナブルな活動に興味を持つ方々へ、情報を発信していきます。

連載第1回は、TWIGGY.と自然電力株式会社が共同で開催している「自然電力勉強会」の模様を前編・後編でお届けします。テーマはサステナブルな社会実現に向けて世界で注目されているサーキュラーエコノミー。リサイクルとの違いは? 注目の理由は? 初めて耳にする方もなにか発見があるかもしれません。

前編では、サーキュラーエコノミーとリサイクルやアップサイクルとの違い、そして先進国・オランダの事例をご紹介しました。後編では日本での事例をご紹介し、オランダに根付く“leaning by doing”という考え方について、お話しいただきました。

“生ごみから堆肥が生まれ、堆肥が野菜を育てる”
循環プロジェクト@日本

次に、安居さんのお話は日本での実例に広がりました。実は日本でも、特に地方でさまざまな取り組みが生まれているそうです。そのひとつが熊本県の黒川温泉で進んでいる完熟堆肥を使ったコンポストプロジェクト。

「黒川温泉にあるたくさんの旅館から出てしまう生ごみと、美しい景観を維持するために生じる落ち葉が、地域の課題となっていました。サーキュラーエコノミーは、そういった誰かの悩みの種になっているモノを、いかに宝のような資源として活用していくかが重要なんです」(安居さん)

そこでつくられているのが完熟堆肥。旅館から出る生ごみと、地域で余っているもみ殻や落ち葉、それらを特別な配合で赤土と合わせることで、微生物が60℃以上で発酵し、完成するのだそうです。それには、安居さんの知り合いでコンポストアドバイザーの鴨志田純さんの協力が必須でした。完熟堆肥は地域の農家に供給し野菜の栽培に使用され、収穫した野菜は旅館での食事に使用されるという資源循環の仕組みがつくられているのです。日本の可燃ごみの3割にのぼる生ごみを完熟堆肥として活用することは、大きな意味を持つのではないでしょうか。

安居さんとコンポストアドバイザーの鴨志田さん
完熟堆肥を使用した比較実験栽培

しかも完熟堆肥で野菜をつくると、生育が良く、そして味の良い野菜が育つこともわかり、うれしい成果が上がっているそう。

「堆肥って聞くと、臭いイメージがあると思うんですけど、実際に去年仕込んだ完熟堆肥を持ってきました!」と、安居さんが笑顔で堆肥の入った袋を参加者に回していきます。おそるおそる嗅いでみる参加者の皆さんからも、「え、全然臭くない!」という声が上がり思わず笑顔がこぼれました。

やりながら学ぼう!

「サーキュラーエコノミーの要となる“learning by doing=やりながら学ぶ”という考え方は、これからさまざまな取り組みが必要とされている日本にとっても重要なポイントです。オランダでは大人だけでなく、子供への教育にもその姿勢が根付いていて、“変なことをしないで”“周りの子はそんなことはしないでしょ”と大人は子供に決して言いません。まずは子供たちがやりたいと思ったことはやらせてあげる。“やりながら学んでいく”ことが社会全体に浸透しています」(安居さん)

オランダのように先進的な取り組みを知ると、なにかしたいと考える人も多いと思いますが、実際にどこから手をつければ良いか分からないかもしれません。ですが、たとえ環境問題について詳しくなくても、まずは自分なりに動いて、やりながら学んでいけばいい。それは、勉強会に参加して情報を得ることかもしれないし、使い捨ての製品をできるだけ使わないことかもしれません。その結果、もし失敗することがあったとしても、大切な経験や知恵が得られるはずだと、私たちは考えています。

すでにTWIGGY.でも小さな第一歩として、廃棄物を出さないサーキュラーエコノミーの取り組みが始めてられています。それは、サロンの屋上庭園。ここでは野菜を育てていますが、それらはカフェの料理の材料となり、調理時に出た生ごみはコンポストで堆肥にし、野菜を育てる際に使用しています。最近は家庭用のコンポストも販売されているので、サーキュラーエコノミーの実践をご家庭で始めるのもいいかもしれません。

「自然電力勉強会」をはじめとする取り組みを通して、一人でも多くの方に“leaning by doing”という姿勢が広がっていくことを願っています。まずは考え、一歩動くこと。THINK, TRY, DO IT. あなたはどんな風に始めますか?

profile

安居 昭博(Akihiro Yasui)

1988年生まれ。Circular Initiatives&Partners代表。世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー。ドイツ・キール大学「Sustainability, Society and the Environment」修士課程卒業。2021年、日本各地でのサーキュラーエコノミー実践と理論の普及が高く評価され、「青年版国民栄誉賞(TOYP2021)」にて「内閣総理大臣奨励賞(グランプリ)」受賞。著書に「サーキュラーエコノミー実践 ーオランダに探るビジネスモデル(学芸出版社)」。

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