「サーキュラーエコノミー」 前編

TWIGGY.では、人と地球がお互いに心地よく感じる活動に取り組む団体や企業に共鳴し、勉強会の開催や持続可能なプロジェクトに参加するなど、あらゆる支援を行っています。そうした活動の中で得た正しい知識や情報を、お届けしていく『THINK, TRY, DO IT!』シリーズ。環境問題やサステナブルな活動に興味を持つ方々へ、情報を発信していきます。

連載第1回は、TWIGGY.と自然電力株式会社が共同で開催している「自然電力勉強会」の模様を前編・後編でお届けします。テーマはサステナブルな社会実現に向けて世界で注目されているサーキュラーエコノミー。リサイクルとの違いは? 注目の理由は? 初めて耳にする方もなにか発見があるかもしれません。前編では、サーキュラーエコノミー先進国・オランダの事例とともにご紹介していきます。

サーキュラー(循環型)である
重要性とは?

「自然電力勉強会」の講師にお招きしたのはサーキュラーエコノミー研究家の安居昭博さん。 安居さんはドイツの大学院に留学後、サーキュラーエコノミーがいち早く広がり始めているオランダで暮らした経験を持つ、日本の第一人者です。現在は、企業での講演などを通して、サーキュラーエコノミーを広め、実践する活動をしています。

今回は安居さんに、あまり馴染みのないサーキュラーエコノミーに関して、詳しい事例とともにご紹介いただきました。

「サーキュラーエコノミーとは、日本語にすると循環型経済。これまで廃棄されていた製品や原材料などのモノやエネルギーを、“廃棄物ではなく新たな資源”と認識し、サステナブルな状態でループ状に循環させる経済の仕組みのこと。 モノを所有するのではなく、リースやシェアするのも、サーキュラーエコノミーの考え方に基づいています。 この考えが世界的に注目される背景には、地球の資源の限界が近づき、このままでは人類の生活を維持できなくなるかもしれないという厳しい現状があります。既に気候変動が目の前の危機として迫っていることはご存じかもしれません。社会を大きく変える必要があると感じる多くの人々が、サーキュラーエコノミーに可能性を感じているのです」(安居さん)

リサイクルと
サーキュラーエコノミーの違いとは

「サーキュラーエコノミーはリサイクルやアップサイクルとは明確に違うんです。そもそも“廃棄が出ない仕組み作り”をベースにして、製品のデザインや設計、ビジネスモデル、国の政策が決められているところに根幹があります。リサイクルやアップサイクルでは廃棄物から新しい製品を作ったりしますが、サーキュラーエコノミーでは廃棄物を資源とみなして活用するので、そもそも廃棄物を出さないという点が大きく異なります。廃棄物を出さず、資源として循環させるので、サステナブル(持続可能)なのです」

そう語る安居さん。オランダではさまざまな形で実践されているそうで、日本では目にしないような斬新なビジネスモデルの事例を、紹介してくださいました。

サーキュラーエコノミー先進国・
オランダの事例

「MUD jeans」:購入ではなく、利用者がレンタルできるジーンズ。利用者から返却されたジーンズは繊維に戻され、新しいジーンズの材料となる。
「Fairphone」:利用者自身で修理が可能なスマートフォン。分解が可能なため、一部の機能だけを交換できる。返却に対しキャッシュバックがある。
「in stock」: 廃棄されてしまう野菜やパンをレスキュー(調達)し、通常よりも低価格で料理を提供するレストラン。
「CIRCLE PROJECT」 :「ABN AMRO」(銀行)によるプロジェクト。 木造建築で複合施設を建設。将来的に木材は再利用可能。
「Koninklijke Philips」: 半永久的に切れない照明を開発。照明器具をリースし、光の使用量に課金する。

新しいビジネスモデルがたくさん生まれている背景には、消費者の“修理する権利”の法的保護が進められるEUでフェアフォン(上部図を参照)が生まれたように、社会全体がサステナブルであることを目指しているからだそうです。

後編は、日本での事例、そしてオランダでサーキュラーエコノミーが根付く理由について、引き続き安居さんにご紹介していただきます。

profile

安居 昭博(Akihiro Yasui)

1988年生まれ。Circular Initiatives&Partners代表。世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー。ドイツ・キール大学「Sustainability, Society and the Environment」修士課程卒業。2021年、日本各地でのサーキュラーエコノミー実践と理論の普及が高く評価され、「青年版国民栄誉賞(TOYP2021)」にて「内閣総理大臣奨励賞(グランプリ)」受賞。著書に「サーキュラーエコノミー実践 ーオランダに探るビジネスモデル(学芸出版社)」。

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